養育費の履行確保

養育費の履行勧告・履行命令の申出(申出先・費用・過料)

調停や審判で決めた養育費が払われないとき、家庭裁判所には「履行勧告」と「履行命令」という2つの手続きがあります。履行勧告は費用がかからず電話でも申し出られますが、従わない相手に支払いを強制することはできません。履行命令は従わないと10万円以下の過料の対象になりますが、差押えのように回収する手続きではありません。申出先、費用、強制執行との分かれ道を、裁判所の案内と家事事件手続法で確認します。

このページで終える確認

家庭裁判所の調停・審判で決めた養育費が払われないとき、履行勧告と履行命令をどこへどう申し出るか、強制執行とどう違うかを確認します。申出が受け付けられるか、相手が払うかどうかは判定しません。個別の事案は、取り決めをした家庭裁判所か弁護士などに確認してください。

差押えで回収する強制執行は養育費未払いの強制執行のページ、財産が分からないときは第三者からの情報取得手続のページ、取り決めそのものは養育費の調停のページで確認できます。どの窓口に相談するか迷うときは養育費の相談窓口の使い分けのページを見てください。次に読むなら、公正証書等の作成費用や養育費保証の保証料を補助する自治体もあるため、養育費確保支援事業のページで実施の有無・上限額・申請期限の自治体差を確認できます。

履行勧告と履行命令の違い

履行勧告と履行命令の比較(裁判所の手続案内、家事事件手続法289条・290条で確認)
項目履行勧告履行命令
内容家庭裁判所が必要な調査をしたうえで、相手に取り決めを守るよう勧告する家庭裁判所が、相当の期限を定めて義務を履行するよう命じる審判をする
申出・申立て権利者の申出権利者の申立て
対象家庭裁判所の調停・審判・人事訴訟で定められた事項金銭の支払いなど財産上の給付を目的とする義務(養育費はこれに当たります)
従わないとき履行を強制することはできない正当な理由なく従わないと、10万円以下の過料
費用かからないこのページでは確認できていません

表は横にスクロールできます。「過料」は、行政上の秩序を保つために科される金銭の負担で、刑罰である罰金とは別の扱いです。

履行勧告の申出

  • 申出先:取り決めの手続きをした家庭裁判所です。
  • 方法:書面でも口頭でもでき、電話での申出もできます。
  • 費用:手続きに費用はかかりません。
  • 対象外:公正証書など、当事者間の合意で決めたものは、履行勧告を申し出られません。
  • 強制力:勧告に応じない相手に、履行を強制することはできません。

家事事件手続法289条は、家庭裁判所が権利者の申出により義務の履行状況を調査し、義務者に履行を勧告できると定めています。調査のために、銀行や勤務先などに預金や収入について報告を求めることも認められています。調停で決めた義務にも同じ規定が使われます。

履行命令の申立て

家事事件手続法290条は、審判で定められた金銭の支払いを怠った者がいて、家庭裁判所が相当と認めるときに、権利者の申立てにより、相当の期限を定めて履行を命じる審判をすると定めています。この規定は、調停で定められた義務の履行にも使われます。命令は、その時までに怠った義務の全部または一部についてされ、命令の前に家庭裁判所は義務者の陳述を聴きます。

命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料に処されます。履行命令は、条文上、期限を定めて履行を命じる審判であり、財産を差し押さえて回収する手続きではありません。差押えで回収するには、次の強制執行を使います。

未払いが続いたときの時系列(架空の例)

調停で養育費を月額で決めたのに、ある月から払われなくなったと仮定した流れです。期間や回数は事案で変わるため、日数は示しません。

調停で決めた養育費が払われないときの時系列(裁判所の手続案内・家事事件手続法289条・290条で確認)
順状況とれる手続きポイント
1支払期限を過ぎても入金がない履行勧告の申出(取り決めをした家庭裁判所へ。書面・口頭・電話)費用はかからない。応じない相手に履行を強制はできない
2勧告をしても払われない履行命令の申立て、または強制執行の申立て履行命令は期限を定めて履行を命じる審判。正当な理由なく従わないと10万円以下の過料
3差押えで回収したい強制執行(養育費未払いの強制執行のページ)履行命令は差押えのような回収手続きではない

表は横にスクロールできます。順1から順2へ進む必要があるか、順1を飛ばして強制執行を選べるかは、このページでは判定しません。

強制執行との分かれ道

養育費が払われないときの手続きの比べ方
手続き相手に支払いを強制できるか養育費が公正証書のみの場合
履行勧告できない申し出られない
履行命令差押えのような回収手続きではない(従わないと過料)調停・審判で定められた義務が対象のため、公正証書のみの場合はこのページでは確認できていません
強制執行(差押え)できる(給料の2分の1までなど)強制執行に服する旨の陳述がある公正証書なら使える(強制執行のページ)

勧告や命令は、相手に支払いを促す手続きです。差押えで確実に回収したいときは強制執行を選びます。両方を使えるかどうか、どちらを先に使うべきかは、個別の事情によるため、このページでは判定しません。

よくある質問

履行勧告は電話だけで申し出られますか。

裁判所の案内では、書面、口頭、電話のいずれでも申し出られるとされています。申出先は、取り決めの手続きをした家庭裁判所です。

公正証書で養育費を決めた場合も、履行勧告を使えますか。

使えません。裁判所の案内では、公正証書など当事者間の合意で決めたものについては、履行勧告を申し出られないとされています。

履行勧告をしても払われなかったら、どうなりますか。

履行勧告には強制力がありません。履行命令を申し立てるか、強制執行を申し立てるかを選びます。

履行勧告の申出に費用はかかりますか。

裁判所の案内では、履行勧告の手続に費用はかかりません。ただし、勧告に応じない相手に履行を強制することはできません(裁判所「履行勧告手続」、確認日2026年10月10日)。

履行命令に従わないと、どうなりますか。

家事事件手続法290条5項は、履行を命じられた人が正当な理由なく命令に従わないときは、家庭裁判所が10万円以下の過料に処すると定めています。ただし、命令は財産を差し押さえて回収する手続きではありません(e-Gov法令検索、確認日2026年10月10日)。

未確認のまま扱っている事項

  • 履行命令の申立てに必要な書式、費用、手続きの期間は、確認していません。取り決めをした家庭裁判所に問い合わせてください。
  • 人事訴訟(離婚訴訟)の判決で決めた養育費に履行命令が使えるかは、確認していません。
  • 履行勧告に応じた割合、実際に回収できた金額は確認していません。
  • 個別の事案で申出が受け付けられるか、相手が払うかどうかは判定しません。

公式根拠

裁判所「履行勧告手続」:裁判所: 履行勧告手続(確認日2026年10月10日)。申出先、方法、費用、強制力、公正証書が対象外であることはこのページで確認しました。

家事事件手続法289条・290条:e-Gov法令検索: 家事事件手続法(確認日2026年10月10日)。履行勧告の調査、履行命令の要件、10万円以下の過料はこの条文で確認しました。

← 自分の手続き順序へ戻る