離婚前の避難

DVで離婚前に避難するときの一時保護と女性自立支援施設の入所

配偶者からの暴力を理由に離婚前に家を出るときの公的な避難先は、都道府県の女性相談支援センター(旧婦人相談所)による一時保護と、その後の女性自立支援施設(旧婦人保護施設)などです。2024年4月の法律の施行で名称が変わっています。窓口と順序、期間の考え方、母子生活支援施設との違いを、法律と厚生労働省の基本方針で確認します。

用紙とカードを項目別に並べた手続き書類

このページで終える確認

DV被害があるとき、離婚が成立する前でも使える一時保護の窓口はどこか、一時保護から施設の入所までどう進むか、母子生活支援施設とは何が違うかの三つに絞って確認します。個別の保護の可否、保護命令(裁判所の手続き)の見通し、特定の施設の紹介はこのページでは扱いません。身の危険が差し迫っているときは、このページを読む前に警察や、お住まいの地域の相談窓口へ連絡してください。

名前が変わっています(旧婦人相談所・旧婦人保護施設)

以前の検索資料や自治体の古いページには「婦人相談所」「婦人保護施設」と書かれています。「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(令和4年法律第52号)が2024年4月に施行され、次のように呼び名が変わりました。厚生労働省の基本方針も、旧婦人相談所、旧婦人保護施設という書き方で新旧を並べています。

旧名称と現在の名称(厚生労働省告示第111号の目次と本文による)
以前の呼び名現在の呼び名役割
婦人相談所女性相談支援センター相談、緊急時の安全確保と一時保護、施設の利用についての情報提供など
婦人相談員女性相談支援員困難な問題を抱える女性の相談に応じ、必要な援助を行う職員
婦人保護施設女性自立支援施設入所させて保護し、心身の回復の援助と自立のための生活支援を行う施設

基本方針は、旧婦人相談所、旧婦人相談員、旧婦人保護施設が、配偶者からの暴力の被害者への支援の受け皿として位置づけられてきた経緯があり、法の施行後も配偶者暴力被害者が支援の対象者に含まれる、としています。

一時保護とは(女性相談支援センター)

法律の第9条は、都道府県に女性相談支援センターの設置を義務づけています。センターの業務には、相談に応じること、緊急時における安全の確保と一時保護、心身の健康の回復のための援助、就労・住宅・保育などの制度利用についての情報提供、居住して保護を受けられる施設の利用についての情報提供などが含まれます。一時保護の対象になる人が子どもを連れている場合は、子どもも保護の対象に含まれます(同条第3項第2号)。

基本方針は、女性相談支援センターが一時保護を行う場合を列挙しています。その一つが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)にいう配偶者からの暴力から保護することが必要と認められる場合です(法施行規則第1条第1号)。このほか、同居する人などからの暴力、ストーカー行為、住まいが定まっていない場合なども挙げられています。離婚が成立しているかどうかは、この列挙の中では条件として書かれていません。

一時保護は、センターに設けられた一時保護所で行うほか、厚生労働大臣が定める基準を満たす者(民間のシェルターなど)に委託して行うこともできます(法第9条第7項)。基本方針は、一時保護は本人の同意のもとで行うものとしています。

相談から一時保護、施設の入所までの順序

基本方針に書かれている内容から、順序を整理すると次のようになります。実際の窓口の呼び名や手順は都道府県ごとに異なる場合があります。

基本方針(厚生労働省告示第111号)から整理した流れ
順序内容基本方針の書き方
1相談する女性相談支援センターや、市町村などに置かれる女性相談支援員が相談に応じる。
2安全の確保と一時保護配偶者からの暴力からの緊急避難として一時保護を行う場合は、必要に応じて警察などとも連携し、保護に至るまでの安全確保を行うとされている。
3一時保護の間に今後を決める状況の整理と本人の意向の確認を行い、本人の希望・意思を最大限に尊重して、今後の支援方針を検討し決定するとされている。
4生活の場へ移る施設への入所などの手続が終わるまでの短期間の実施が想定されている。

成人の女性については、原則として、一時保護が必要な状況になったときにいる場所(現在地)の女性相談支援センターが判断するとされています。

一時保護の期間の考え方

基本方針は、一時保護について、一定の期間を過ぎたことを理由に機械的に終了してはならず、終了後の生活の安定が図られるまで継続するとしています。期間の上限として日数を示した記載は、確認した基本方針の本文にはありませんでした。

参考になる実績として、基本方針には令和2年度の数字が載っています。女性相談支援センター(旧婦人相談所)の一時保護の平均在所日数は17.1日で、1〜5日が26.4%と最も多く、31日以上の人も15.3%でした。退所後の行き先は、女性自立支援施設(旧婦人保護施設)が9.5%、母子生活支援施設が11.6%、実家などに帰郷した人が14.4%などでした。これは過去の実績であり、これからの期間を保証するものではありません。

女性自立支援施設の入所

女性自立支援施設は、都道府県が設置できる施設で、困難な問題を抱える女性を入所させて保護し、心身の健康の回復のための援助と自立の促進のための生活支援を行います(法第12条第1項)。子どもを連れている場合は、子どもの状況に応じた学習・生活の支援も行われます(同条第3項)。

入所の決定は都道府県(女性相談支援センター)が行います。基本方針は、入所を決める前に、本人が施設の見学や体験宿泊を行い、事前説明を受ける機会を設けるとしています。また、一時保護を経なくても、センターによる入所の決定と手続きは可能とされています。つまり、一時保護は入所の必須の前段ではありません。

母子生活支援施設との違い

母子生活支援施設は、児童福祉法に基づく施設で、申込みはお住まいの地域の福祉事務所に行います。詳しい条件と費用は母子生活支援施設のページで整理しています。二つの施設の違いを、法律の書き方で並べると次のとおりです。

女性自立支援施設と母子生活支援施設の違い(根拠条文による)
項目女性自立支援施設母子生活支援施設
根拠の法律困難な問題を抱える女性への支援に関する法律 第12条児童福祉法 第38条
設置都道府県が設置できる児童福祉施設の一つ
入所の決定都道府県(女性相談支援センター)福祉事務所を設置する都道府県等(申込みは児童福祉法第23条)
対象困難な問題を抱える女性(子どもを連れている場合は同伴する家族も含む)配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子と、その監護すべき児童

二つはつながっています。法第10条は、女性相談支援センターの所長が、配偶者のない女性又はこれに準ずる事情にある女性とその子について母子保護の実施が適当と認めたとき、その実施に係る都道府県又は市町村の長に報告し、又は通知しなければならないと定めています。一時保護の後に母子生活支援施設へ移る道は、この仕組みで用意されています。

よくある質問と窓口(法律と基本方針で確認できる範囲)

Q. 離婚が成立する前でも一時保護を受けられますか。
A. 基本方針が列挙する一時保護の場合に、離婚の成立は条件として書かれていません。配偶者からの暴力から保護することが必要と認められる場合が挙げられています。保護の可否はセンターが判断するため、このページでは判定しません。

Q. 子どもを連れて避難できますか。
A. 法律は、一時保護の対象に、対象者が同伴する家族を含めています。基本方針には、同伴児童と一緒に入所できないことが利用をためらわせる要因の一つとして指摘されている、という記述もあり、受け入れの実際は都道府県で異なる可能性があります。

Q. 一時保護は何日まででしょうか。
A. 日数の上限は確認した基本方針に書かれていません。一定期間を過ぎたことだけを理由に機械的に終了してはならないとされています。

Q. 一時保護を受けないと女性自立支援施設に入れませんか。
A. いいえ。基本方針は、一時保護を経なくても入所の決定と手続きは可能としています。

相談先: お住まいの、または避難先の都道府県の女性相談支援センター、市区町村の女性相談支援員の窓口、配偶者暴力相談支援センターです。電話番号や受付時間は自治体ごとに異なるため、各自治体の公式ページで確認してください。住民票の写しなどの交付を制限する手続きは、市区町村の窓口の別の手続きです。

未確認のまま扱っている事項

  • 一時保護中の過ごし方(携帯電話の使用、外出、学校や仕事の扱い)は、都道府県ごとに異なります。ここでは特定の都道府県の運用を確認していません。
  • 一時保護の費用負担と、女性自立支援施設の入所中の費用は確認していません。
  • 配偶者暴力相談支援センターの機能と、DV防止法の保護命令の要件は、このページでは条文を確認していません。
  • 各都道府県の女性相談支援センターの所在地と連絡先は扱っていません。
  • 平均在所日数などの数字は、基本方針に載っている令和2年度の実績で、現在の状況を示すものではありません。

離婚の前に住まいを移すときの別の手続きは世帯変更の届出、離婚届の提出前後に必要になる行政手続き全体は離婚届提出時の行政手続きで確認できます。生活費の支援は離婚後の生活保護のページ、就職や就業の相談先は就業・自立支援センターのページで確認できます。

公式根拠

女性相談支援センター、一時保護、女性自立支援施設、母子保護への報告は、厚生労働省が公開する「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の本文(第9条・第10条・第12条)で確認しました。一時保護の対象、期間の考え方、入所の決定、令和2年度の実績の数字は、厚生労働省告示第111号「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針」で確認しました(確認日2026年10月15日)。母子生活支援施設はe-Gov法令検索の児童福祉法(第23条・第38条)で確認しました。

確認日: 2026年10月15日。

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