離婚の公正証書

離婚の公正証書の条項・公証人手数料(養育費は5年分が上限)

協議離婚で養育費や財産分与を取り決めたとき、公正証書にすると、支払が止まっても裁判を経ずに強制執行できる形にできます。公正証書に入れる条項、離婚の効力が生じる時点、公証人手数料の計算の仕方を、日本公証人連合会の案内で確認します。

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協議離婚で取り決めた内容を公正証書にするときの、条項・効力・手数料を確認します。養育費の金額の決め方、慰謝料の相場、証書の文面の個別の作り方は扱いません。話合いがまとまらないときの調停は離婚調停のページ、養育費が払われないときの強制執行は養育費の強制執行のページで確認できます。

離婚の公正証書に入れる条項

日本公証人連合会の案内では、離婚に際して作成される公正証書は、離婚に伴う財産給付が書かれることが多いことから「離婚給付等契約公正証書」と呼ばれます。次の9つの条項のうち、当事者の要望や必要性に応じて選んで条項にします。

離婚給付等契約公正証書の主な条項(日本公証人連合会の案内による)
条項内容の概要
離婚の合意離婚することの合意
親権者・監護権者の定め監護権者は子の監護養育をする人。親権と分けて別に定めない限り、親権者が監護養育する
養育費子を養育する費用の支払
面会交流子と離れて暮らす親と子との交流。日時や場所などは協議して定める形も例示されている
慰謝料離婚について責任のある側が他方に払う損害賠償金
財産分与婚姻中の協力で形成された財産の清算
住所変更等の通知義務養育費の支払や面会交流を円滑にするため、住所や勤務先の変更を通知し合う定め
清算条項証書に書いた権利義務のほかには、互いに債権債務がないことの確認
強制執行認諾支払をしないときは強制執行されてもかまわないという定め

住所や勤務先を相手に知られたくない場合(DV等のおそれがあるケースを含む)は、その希望を伝えて、証書にどう書くかを公証人に相談するよう案内されています。

公正証書を作っただけでは離婚は成立しない

協議離婚は、戸籍法による届出(離婚届)が受理されてはじめて効力を生じます。

公正証書によって協議離婚の合意をした場合でも、公正証書が作成されただけでは、離婚の効力は発生しません(日本公証人連合会の案内)。

離婚届を出したあとの手続きは行政手続きのページから確認できます。

公証人手数料の計算

手数料は、政令の公証人手数料令(令和7年政令第263号)で定められています。契約や法律行為の証書は、原則として「目的の価額」に応じた次の表で決まります。公証業務に関する相談は無料です。

法律行為に係る証書作成の手数料(公証人手数料令第9条別表。1億円以下の部分)
目的の価額手数料
50万円以下3000円
50万円超100万円以下5000円
100万円超200万円以下7000円
200万円超500万円以下13000円
500万円超1000万円以下20000円
1000万円超3000万円以下26000円
3000万円超5000万円以下33000円
5000万円超1億円以下49000円

離婚給付については、次のとおり案内されています。

  • 慰謝料・財産分与と、未成年の子の養育料の支払は、別々の法律行為として扱います。それぞれの手数料を計算し、合計額がその証書の手数料になります。
  • 養育料の支払は賃料と同じ定期給付にあたります。支払期間が長いときの目的の価額の上限は、5年分の支払金額の総額です。
  • 目的の価額は、公証人が証書の作成に着手した時を基準に算定します。
  • 手数料は原則として、証書の正本等を受け取るときに現金またはクレジットカードで払います。資力がないことが市町村長等の証明書で明らかなときは、支払の猶予が認められる場合があります。

計算の例

表は横にスクロールできます。

養育費と財産分与を同じ証書にしたときの手数料の計算例(上の表と案内の規定から計算した例)
取決め目的の価額手数料
養育費 月3万円5年分 180万円(上限の5年分で頭打ち)7000円
養育費 月5万円5年分 300万円13000円
財産分与 600万円600万円20000円
月5万円の養育費と600万円の財産分与を同じ証書にする別々に計算して合計13000円+20000円=33000円

この例は基本の手数料だけを計算したものです。正本・謄本の交付などにかかる別の手数料は含めていません。実際の額は、依頼する公証役場に確認してください。

強制執行認諾の効力と限界

公正証書に、一定額の金銭の支払についての合意と、支払をしないときは強制執行されてもかまわないという定め(強制執行認諾)を書くと、支払が履行されないときに、裁判の手続を経ずに強制執行ができます。養育費、財産分与、慰謝料の支払を確保する方法として案内されています。

  • 金銭以外の財産の給付の約束は、公正証書によって強制執行することはできません。
  • 公正証書は当事者の合意を書いて作るもので、公証人は養育費の金額を算定してくれません。家庭裁判所の実務では簡易な計算方法として「養育費・婚姻費用算定表」が用いられていると案内されています。
  • 養育費の額や支払方法は、離婚後に事情が変わったときは、当事者の協議で変更できます。まとまらないときは家庭裁判所に調停を申し立てます(養育費請求調停のページ)。

よくある質問

Q. 公正証書を作れば、離婚は成立しますか。
A. 成立しません。離婚届が受理されてはじめて効力が生じます。

Q. 養育費を10年分、公正証書にすると手数料は10年分で計算されますか。
A. 日本公証人連合会の案内では、養育料の目的の価額は5年分の支払金額の総額が上限です。

Q. 養育費と財産分与を1通の証書にすると、手数料はどうなりますか。
A. 別々の法律行為として手数料を計算し、その合計額になります。

Q. 公証人に養育費の金額を決めてもらえますか。
A. 決めてもらえません。当事者の合意を書いて証書にします。

Q. 公正証書があれば、不動産の引渡しも強制執行できますか。
A. 金銭以外の財産の給付は、公正証書によって強制執行できないと案内されています。

次に読む手続き

未確認のまま扱っている事項

  • 公証役場で求められる必要書類と、予約から作成までの標準的な日数。
  • 正本・謄本の交付や証書の枚数に応じた別の手数料の額。
  • 養育費の目的の価額が子の人数で変わるかどうか。
  • 証書の文面(条項の書き方)の個別の作り方。
養育費や慰謝料の金額、条項の書き方の判断は、このページでは行いません。

個別の事情に応じた判断は、公証役場の無料相談や弁護士などの専門家へ確認してください。

公式根拠

条項・離婚の効力・強制執行認諾は日本公証人連合会: 公証事務 7 離婚、手数料の表と離婚給付の計算は日本公証人連合会: 公証事務 12 手数料で確認しました(確認日2026年10月9日)。

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