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財産分与の取り決めをする前に、贈与税・譲渡所得・不動産取得税の3つが、渡す側ともらう側のどちらにかかりうるかを分けて確認します。分与の額や方法の決め方は財産分与の調停で確認できます。このページは個別の税額や課税の有無を判定しません。
3つの税の早見表
| 税 | かかりうる人 | 原則 | 課税される場合 |
|---|---|---|---|
| 贈与税 | もらった側 | 通常かからない(国税庁No.4414) | 分与額が多過ぎる部分、または離婚が贈与税・相続税を免れるためと認められる場合はもらった財産すべて |
| 譲渡所得(所得税) | 土地・建物などを渡した側 | 不動産で分与すると課税される(国税庁No.3114) | 分与した時の時価が収入金額。現金で分ければこの課税の対象にならない旨は、今回の資料では確認していません |
| 不動産取得税 | 不動産をもらった側 | 分与の目的で分かれる(東京都の審査会の答申) | 離婚に対する慰藉や将来の扶養の目的と認められる場合。自分名義で取得した財産を分与に出すと、特段の事情がない限りこちらと認められる |
贈与税: 通常はかからない
国税庁のタックスアンサーNo.4414は、離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはないとしています。相手方から贈与を受けたのではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づいて受け取ったと考えられるからです。
例外は次の2つです。分与された額が、婚姻中の夫婦の協力で得た財産の額やその他すべての事情を考えても多過ぎるときは、その多過ぎる部分に贈与税がかかります。離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められるときは、離婚でもらった財産すべてに贈与税がかかります。
譲渡所得: 不動産を渡した側にかかる
国税庁のタックスアンサーNo.3114は、財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われるとしています。収入金額になるのは、分与した時の土地や建物の時価です。分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で取得したことになります。
そのため、受け取った不動産を将来売る場合は、財産分与を受けた日を基準に、長期譲渡か短期譲渡かを判定します。不動産で分けるかどうかを決める段階で、税務署または税理士に確認します。特例の適用の可否は、このページでは確認できていません。
不動産取得税: 名義と分与の目的で分かれる
不動産取得税は都道府県税で、不動産をもらった側に関わります。東京都の審査会の答申(令和5年に諮問。審査請求は棄却すべきとした)が、離婚後に元夫の持分(各10分の5)を取得した人への不動産取得税の賦課を争った事案で、判断の枠組みを示しています。
- 不動産取得税は、不動産の移転の事実自体に着目する税で、完全な所有権を得たかどうかに関係なく、所有権移転の形式による取得を広く含むと説明されています。
- 婚姻中の財産関係の清算を目的とする財産分与で、夫婦のどちらのものか明らかでない共有と推定される財産を分けた場合は、形式的に移転しても所有権の帰属を確認するにすぎず、課税原因に当たらないとされています。
- 離婚に対する慰藉や将来の扶養を目的とする場合は、実質的に財産権が動くため、課税原因に当たります。
- 婚姻中に一方が自分の名義で取得した財産を分与に出したときは、特段の事情がない限り、慰藉や扶養を目的としたものと認めるのが相当とされました。
この事案では、請求人が「婚姻中のローン返済も家計も共同で、実態は共有財産だった」と主張しましたが、登記上の持分と異なる権利状態だったことを裏付ける証拠がないとして、課税は維持されました。登記が相手の名義になっている不動産は、実態が共有だったと言うだけでは足りないという点が、読み取れる実務上の注意です。
この答申は東京都の1件の事案です。他の都道府県の取り扱いは、今回は確認できていません。不動産の所在地の都道府県税事務所に確認してください。
財産分与の税金のよくある質問
財産分与でお金や財産をもらうと、贈与税がかかりますか。
通常はかかりません。国税庁のタックスアンサーNo.4414は、離婚による財産分与請求権に基づく給付と考えられるためとしています。ただし、分与された額が多過ぎる部分や、離婚が贈与税・相続税を免れるためと認められる場合の財産には、贈与税がかかります。
自宅を相手に渡すと、渡した側に税金がかかりますか。
国税庁のタックスアンサーNo.3114は、財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われるとしています。収入金額は分与した時の時価です。実際の税額や特例の適用は、税務署や税理士に確認してください。
不動産をもらった側に、不動産取得税はかかりますか。
一律には言えません。東京都の審査会の答申は、清算を目的とする分与で共有と推定される財産なら課税原因に当たらず、慰藉や扶養を目的とする場合は当たるとしています。自分名義で取得した財産を分与に出したときは、特段の事情がない限り後者と認めるのが相当とされました。他の都道府県の扱いは確認できていません。
登記の名義が相手の単独名義でも、清算のための財産分与と認めてもらえますか。
答申の事案では、登記上は元夫の持分だった不動産について、登記と異なる権利状態だったことを裏付ける証拠がないとして、課税が維持されました。名義と実態が違うと主張するには、それを裏付ける資料が要る点が読み取れます。個別の判断は、不動産の所在地の都道府県税事務所に確認してください。
税金の相談はどこにすればよいですか。
贈与税と譲渡所得は国税なので、国税庁の税についての相談窓口(税務署)です。不動産取得税は都道府県税なので、不動産の所在地の都道府県税事務所です。
確認日: 2026年10月13日(国税庁タックスアンサーNo.4414・No.3114、東京都の審査会の答申)。
家にローンが残っている場合の名義と返済の整理は、離婚時の住宅ローンの名義と返済のページで確認できます。
未確認のまま扱っている事項
- 不動産取得税について、東京都以外の都道府県の取り扱いと、都道府県の公式ページにある案内文は確認できていません。
- 譲渡所得の特例(居住用財産の特別控除など)が財産分与で使えるかは、確認できていません。
- 現金・預貯金で分けた場合の渡す側の課税、登録免許税、固定資産税の扱いは、確認できていません。
- 生命保険や退職金など、財産の種類ごとの税の扱いは確認できていません。
公式根拠
国税庁タックスアンサーNo.4414 離婚して財産をもらったとき、No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき(いずれも令和8年4月1日現在法令等、確認日2026年10月13日)。不動産取得税は、東京都の審査会の答申(東京都総務局)で確認しました(確認日2026年10月13日)。
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