児童扶養手当と公的年金の併給調整

児童扶養手当と公的年金の併給調整(差額支給・対象年金の範囲)

児童扶養手当は、遺族年金・障害年金・老齢年金など公的年金を受けられるときは全部または一部が支給されません。ただし年金額が児童扶養手当額を下回る場合は、その差額が児童扶養手当として支給されます。対象となる年金の範囲、令和3年3月分からの障害年金の見直しを、児童扶養手当法・同施行令の条文本文で確認します。

このページで終える確認

児童扶養手当の認定請求そのもの(届出期限の定めがないこと)は行政手続きパックの児童扶養手当・国民年金の切替で確認済みという前提で進めます。ここでは、離婚後に遺族年金・障害年金・老齢年金・労災年金などの公的年金を受けている(または受けられる)場合に、児童扶養手当がどう調整されるかの仕組みに絞って確認します。個別の年金額・手当額の計算はこのページでは行いません。認定請求から現況届・資格喪失届までの6つの手続き全体の順序は児童扶養手当の手続きの順序のページで確認できます。親の死亡で子が受ける遺族基礎年金の請求先・必要書類・時効は子の遺族基礎年金のページで確認できます。

よくある質問(年金を受けている場合の手当)

Q. 遺族年金や障害年金を受けていると、児童扶養手当は一切もらえませんか。
A. 一切もらえないわけではありません。年金額が手当額を下回る場合は、差額が児童扶養手当として支給されます(児童扶養手当法施行令第6条の5・第6条の6)。年金額が大きくなると、手当の一部、さらには全部が支給されなくなります。

Q. 障害年金を受けている場合は、いつから差額をもらえますか。
A. 令和3年3月分の手当から、児童扶養手当額と障害年金の「子の加算部分」の額との差額を受けられるようになりました。それ以前は、障害年金額が手当額を上回ると手当を受けられませんでした(佐賀県・江戸川区の案内、確認日2026年9月15日)。

Q. 年金を受給中でも、児童扶養手当を申請したほうがよいですか。
A. 認定請求に法令上の届出期限はありませんが、遡って支給されることはないため、年金の受給状況とあわせて、できるだけ早く市区町村の窓口で申請してください。障害厚生年金を受けている場合の扱いは種類により異なる可能性があるため、窓口か年金事務所で確認してください。

Q. 差額分の手当は、いつ支払われますか。
A. 児童扶養手当法第7条第3項は、手当を毎年1月、3月、5月、7月、9月及び11月の6期に、それぞれの前月までの分を支払うと定めています。認定請求をした日の属する月の翌月分から支給が始まります(同条第1項、確認日2026年10月14日)。

Q. 年金を受け始めたときや年金額が変わったときに、届出は必要ですか。
A. 児童扶養手当法第28条第1項は、手当の支給を受けている人に、内閣府令の定めるところにより届け出て書類を提出する義務を定めています。届け出る事項や書類は、市区町村の窓口と年金事務所で確認してください(確認日2026年10月14日)。

併給調整の基本構造(児童扶養手当法第13条の2)

児童扶養手当法第13条の2は、児童扶養手当と公的年金給付との調整を次の3つの場面に分けて定めています。

児童扶養手当法第13条の2の構造
項誰の年金か内容
第1項児童(子)児童が父又は母の死亡について公的年金給付を受けられるとき等は、政令で定めるところにより、その児童について手当の全部又は一部を支給しない。
第2項受給資格者(親等)受給資格者が公的年金給付(遺族年金・老齢年金・労災年金・遺族補償等を含む)を受けられるときは、政令で定めるところにより、手当の全部又は一部を支給しない。
第3項受給資格者(親等)の障害基礎年金等受給資格者が障害基礎年金等の給付を受けられるとき(全額停止の場合を除く)は、政令で定めるところにより、当該給付のうち「子を有する者に係る加算に係る部分」に相当する額を支給しない。

表は横にスクロールできます。第4項は、政令を定めるにあたり、子が2人以上の受給資格者の手当額が、子が1人の受給資格者の手当額を下回らないようにすることを定めています。

差額支給の考え方(全部不支給ではない)

「公的年金を受けていると児童扶養手当は一切もらえない」という理解は正確ではありません。児童扶養手当法施行令第6条の5(第2項の場合)・第6条の6(第3項の場合)は、いずれも同じ構造の計算方法を定めています。年金額(または障害基礎年金等の子の加算部分の額)が一定額を下回るときは、手当のうちその年金額に相当する部分だけを支給しない、つまり年金額と手当額の差額が児童扶養手当として支給されます。年金額が一定額以上になると、段階的に手当の一部、さらには全部が支給されなくなる仕組みです。個別の年金額から実際の差額を確定することは、このページでは行いません。以下は仕組みを示す架空の例です。

架空の例: 遺族年金を受ける母と子1人(手当が全部支給の場合)

年金額ごとの児童扶養手当の差額(月額・架空の例)
年金の年額(架空)月額に直す(年額÷12、1円未満切り捨て)手当の月額(令和8年度・子1人の全部支給 48,050円)との差額児童扶養手当として支給される月額
240,000円20,000円48,050円 − 20,000円28,050円
420,000円35,000円48,050円 − 35,000円13,050円
600,000円50,000円年金月額が手当額以上0円(全部不支給)

年額を12で除す扱いは施行令第6条の5第2項第3号、端数は同項第8号(5円未満切り捨て・5円以上10円未満は10円に切り上げ)に基づきます。手当が所得により一部支給になる世帯は、手当額に代えて一部支給後の額が基準になります(同条第1項第1号)。令和8年度の月額は児童扶養手当の所得制限限度額のページで確認できます。年金の種類・加算の有無・子の数で結果は変わるため、実際の額は市区町村の窓口で確認してください。

障害年金は令和3年3月分から見直された

この差額支給の考え方が、すべての年金について同時に導入されたわけではありません。遺族年金・老齢年金・労災年金・遺族補償等(第2項)については、平成26年12月分から、年金額が手当額を下回る場合に差額を受給できる仕組みになっています。一方、障害基礎年金等(障害基礎年金・障害補償年金など1・2級相当の給付。第3項)は長く別扱いで、障害年金額(子の加算を含む全体額)が児童扶養手当額を上回る場合は、児童扶養手当を全く受給できませんでした。この障害年金の扱いが見直され、令和3年3月分の手当から、児童扶養手当額と障害年金の「子の加算部分」の額との差額を、児童扶養手当として受給できるようになりました。あわせて、障害基礎年金等を受給している受給資格者については、児童扶養手当の所得制限に関する「所得」に、非課税の公的年金給付等(障害年金・遺族年金・労災年金等)が算入されるようになりました(見直し前は算入されていませんでした)。

「障害基礎年金等」に含まれない年金がある

手当と調整される「障害基礎年金等」の範囲は、施行令で14号にわたって列挙されています(児童扶養手当法施行令第6条の4。法第13条の2第2項第1号の「政令で定める給付」に当たります)。列挙されているのは、恩給法上の増加恩給・傷病年金、旧厚生年金保険法・旧共済組合法系の障害年金(1・2級相当)、労災保険の障害補償年金・傷病補償年金等であり、現在の厚生年金保険法に基づく「障害厚生年金」はこの列挙には含まれていません。会社員・公務員等が加入する厚生年金から支給される障害厚生年金を受けている場合、この第3項の差額支給の枠組みとは別の扱いになる可能性があるため、個別の年金の種類が対象に当たるかどうかは、年金事務所または市区町村の窓口で確認してください。

すでに年金を受けている場合の手続き

すでに遺族年金・障害年金等を受けており、児童扶養手当をまだ申請していない場合も、年金額が児童扶養手当額を下回るときは差額を受給できる可能性があります。行政手続きパックの児童扶養手当・国民年金の切替で確認したとおり、児童扶養手当の認定請求そのものに法令上の届出期限はありませんが、遡って支給されることはないため、年金を受給中かどうかにかかわらず、できるだけ速やかに市区町村の窓口で認定請求を行い、あわせて年金の受給状況を申告することが必要です。

未確認のまま扱っている事項

  • 平成26年12月改正・令和3年3月分からの見直しを行った改正法の正式名称と、施行日を定める附則の条文番号は、今回は条文本文で確認できていません。複数の自治体公式ページ(佐賀県、江戸川区等)が同じ内容を説明していることから記載していますが、法令の附則そのものでの確認はできていません。
  • 老齢年金・労災年金・遺族補償等が第13条の2第2項の「政令で定める給付」にどこまで含まれるかの詳細な列挙(施行令第6条の4は第1号=障害基礎年金等の範囲を定めるもので、老齢年金等の範囲は別条項にあると見られますが、今回は確認していません)。

公式根拠

併給調整の基本構造はe-Gov法令検索: 児童扶養手当法第13条の2、障害基礎年金等の範囲はe-Gov法令検索: 児童扶養手当法施行令第6条の4、差額支給の計算方法は同施行令第6条の5・第6条の6(いずれも条文本文をAPI経由で直接確認、確認日2026年10月12日)、令和3年3月分からの障害年金の見直しは佐賀県: 児童扶養手当と障害年金の併給調整が見直されます・江戸川区: 児童扶養手当と障害基礎年金の併給調整の見直しについて(確認日2026年9月15日)で確認できます。認定請求そのものは行政手続きパックの児童扶養手当・国民年金の切替、一部支給停止(5年/7年ルール)との違いは児童扶養手当の一部支給停止措置のページで確認してください。

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