離婚に伴う不動産の氏名変更登記

離婚後の不動産の氏名変更登記(変更日から2年以内・登録免許税1,000円)

不動産の登記簿に載っている所有者の氏名が離婚で変わったときは、令和8年4月1日から、変更日から2年以内に氏名変更の登記を申請する義務があります。申請先、必要書類、登録免許税、自分で申請せずに済むスマート変更登記を、法令と法務省・法務局の案内で確認します。

このページで終える確認

持ち家や土地の名義人(登記簿に所有者として載っている人)の氏が離婚で変わった場合に、登記簿の氏名を直す手続きを扱います。財産分与で名義そのものを移す所有権移転登記や住宅ローンは別の手続きで、このページでは扱いません。氏名の変更は、運転免許証やパスポートなどの手続きとは別に、法務局で行います。ほかの氏名変更手続きは離婚後の氏名変更手続きの比較で並べて確認できます。

義務・期限・申請先・費用

不動産の氏名変更登記の要点(確認日2026年10月14日)
項目内容根拠
義務の有無あり(令和8年4月1日から)。所有権の登記名義人の氏名に変更があったときは申請しなければなりません。不動産登記法第76条の5、法務省Q&A
期限氏名の変更があった日から2年以内不動産登記法第76条の5
令和8年4月より前に変更した場合令和10年3月31日まで法務省Q&A(過料について)
過料正当な理由なく怠ると5万円以下不動産登記法第164条第2項
申請する人登記名義人が単独で申請できます。不動産登記法第64条第1項
申請先不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)不動産登記法第6条、法務局の案内
登録免許税不動産(土地または建物)1物件につき1,000円。収入印紙で納めます。法務局の案内(令和6年4月版)

土地1筆と建物1棟の一戸建てなら2物件で2,000円です。マンションは建物と敷地権の土地の物件数を数えます。登録免許税の額は法務局の案内の範囲で、申請前に管轄の法務局で確認してください。

期限の考え方(変更日から2年以内)

期限は、離婚日から数えるのではなく、登記簿上の氏名が実際に変わった日から2年です。離婚で婚姻前の氏に戻った場合は、戸籍に氏名の変更の日が記載されます。法務局の案内は、戸籍関係書類に「氏名の変更の日」が記載されていることを求めています。

登記簿に載っている氏名と現在の氏名が同じなら、変更の登記は要りません。たとえば婚氏続称の届(離婚の際に称していた氏を称する届)を出して婚姻中の氏を使い続け、登記簿もその氏のままなら、氏名に変更がないため対象になりません。婚氏続称は離婚の際に称していた氏を称する届のページで確認できます。

過料の流れと「正当な理由」

法務省Q&Aによると、過料までの流れは次の3段階で行う予定です。

  1. 登記官が義務違反を把握したときに、登記をするよう催告書を送ります。
  2. 催告書の期限内に登記や申出がされないときに、登記官が裁判所へ通知します。
  3. 裁判所が要件を判断し、過料を科す裁判を行います。金額は5万円以下の範囲で決まります。

重い病気、DV被害による避難、検索用情報の申出をしているのに職権の登記がまだされていない場合などは、一般に「正当な理由」があると認める予定と案内されています。個別の事情は、管轄の法務局へ確認してください。

必要書類

法務局の案内(結婚等による氏名変更の登記)では、登記申請書に次の書類を付けます。

  • 戸籍関係書類(戸籍謄抄本): 登記簿上の氏名(変更前)、現在の氏名、氏名の変更の日が載っているもの。本籍のある市区町村で取ります。変更前の氏名が載っていない場合は、除籍謄抄本も必要です。
  • 住民票の写し: 本籍の記載があり、マイナンバー(個人番号)が載っていないもの。
  • 収入印紙: 登録免許税の額の分。

申請書の様式と記載例は、法務局のホームページ「不動産登記の申請書様式について」にあります。窓口での登記手続案内は予約制です。

スマート変更登記(自分で申請しなくて済む仕組み)

所有者が「検索用情報の申出」をしておくと、氏名の変更があったときに法務局が住民基本台帳ネットワークで確認し、本人の了解を得たうえで職権で変更登記をします。申出をしていれば、住所等の変更のたびに自分で申請しなくても、義務違反に問われなくなります。

スマート変更登記の要点(法務省、令和8年9月30日時点の案内)
項目内容
費用検索用情報の申出に登録免許税などの費用はかかりません。
申出の方法「かんたん登記・供託申請」(Webブラウザ)、または申出書を管轄の法務局へ提出します。押印・電子署名は不要です。
添付書類多くの場合、運転免許証や個人番号カードなどの身分証明書の写しのみ。登記簿の氏名の変更経緯が住基ネットで確認できない場合は、戸籍の附票などが必要です。
対象にならない人海外に住んでいる人。自分で変更登記を申請します。
実施の時期令和8年度の対象は、令和8年3月31日までに検索用情報の登録が完了した人です。同年4月1日以降に完了した人は令和9年度以降になります。

職権の登記は法務省が決めた日程で行われ、個別に早めてもらうことはできません。売却や担保の設定など、すぐに名義の氏名を直したいときは、自分で変更登記を申請する必要があります。

よくある質問

Q. 離婚で氏が変わったら、不動産の名義の氏名を変える登記は義務ですか。
A. 令和8年4月1日から義務です。氏名に変更があった日から2年以内に申請します(不動産登記法第76条の5)。

Q. 期限を過ぎるとどうなりますか。
A. 正当な理由がないときは5万円以下の過料の対象になります。いきなり科されるのではなく、登記官の催告が先にある流れが予定されています。

Q. 令和8年4月より前に離婚していた場合も対象ですか。
A. 対象です。登記をしていないときは、令和10年3月31日までに申請するか、スマート変更登記の検索用情報の申出をしておきます。

Q. 登録免許税はいくらですか。
A. 法務局の案内では、不動産1物件につき1,000円です。土地と建物が1つずつなら2,000円です。

Q. 司法書士に頼まないと申請できませんか。
A. 登記名義人が単独で申請できます(不動産登記法第64条第1項)。法務局の案内は、本人が申請書を作る手順を示しています。依頼するかどうかは任意です。

未確認のまま扱っている事項

  • 必要書類と登録免許税は、法務局の案内が「結婚等による氏名変更」を例にしたものです。離婚による復氏について別の書類の定めがあるかは、この案内の範囲では確認していません。
  • 共有名義の場合の書類の取り方と、住宅ローンの抵当権の名義人表示の扱いは、確認していません。金融機関と法務局へ確認してください。ローン側の手続きは離婚時の住宅ローンの名義と返済のページで確認できます。
  • 登録免許税の額は令和6年4月版の案内によります。申請前に最新の額を確認してください。

公式根拠

義務と期限は不動産登記法(e-Gov法令検索)の第76条の5、過料は第164条第2項、単独申請は第64条第1項、管轄は第6条です。義務化の運用と過料の流れは法務省: 住所等変更登記の義務化に関するQ&A、スマート変更登記は法務省: スマート変更登記についてと法務省: 検索用情報の申出についてで確認しました。

必要書類と登録免許税は法務省民事局: 結婚等によって氏名が変わったときの登記申請手続のご案内(令和6年4月版)、案内の入口は法務局: 登記されている住所・氏名に変更があった方へです。

氏名変更の期限と窓口を並べて見るには離婚後の氏名変更手続きの比較、離婚後の手続き全体は離婚届提出後の窓口手続きのまとめが使えます。

← 自分の手続き順序へ戻る